考える技術・書く技術

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

いわゆるクリティカル・シンキング(ロジカル・シンキング)についての本です。Pyramid Principle(ピラミッド原則)という思考法と、それに基づく表現方法が解説されています。

Pyramid Principleでは、主ポイントを頂点に置いた三角形の階層構造を用いるのが特徴で、そのピラミッドの中では、上段のトピックを支持するブレイクダウン項目いくつかが下層として上層を支えるという構造を取ります。そして、ピラミッド構造に従って論理を構成することで、書き手は自分の主張を整理・補強することができ、また、読み手は困難を伴うことなく、書き手の主張を理解することができます。

実は、このピラミッド原則そのものについての理解は、さほど難しいものではありません。しかし、いざピラミッドに整理した主張を一つの文章に落とし込むとなると、その作業は必ずしも容易ではありません。実際のところ、理解しやすい見出しの書き方や、文章の書き出し方法についての解説が本書の大半を占めていて、その部分を理解して身につけることこそが、ピラミッド原則を体得する上で重要であると思いました。


ところで、文章の書き方やマナーの本には、言われてみれば当たり前と思えるようなことが書かれていることが少なくありません。実際、そういう本を読み終えたあとで、時間を無駄にしたような気がすることもあります。しかし、読書やセミナーなどの機会を通じて、あまりに慣れすぎてしまっているが故に無意識的になってしまっている「書く」とか「考える」といった作業を、改めて自覚的な作業として見つめ直すことの意義は小さくないような気がします。技術系の知識のように、今日明日に役立ったり、成果がパッと出るようなことはありませんが、日常的な努力を継続することで、長期的には大きな違いが出るのではないかと思います。