最後の将軍

最後の将軍―徳川慶喜 (文春文庫)
最後の将軍―徳川慶喜 (文春文庫)


ちょうど10年前の1998年、司馬遼太郎「最後の将軍」がNHK大河ドラマとして放送されました。その時に原作を読もうと購入して以来、積ん読になっていたのを、ついに読むことができました。そのきっかけは、今年のNHKドラマである「篤姫」が、慶喜の時代の話だったことです。



実は、司馬遼太郎に限らず、伝記を除くと、ほとんど歴史小説的な本を読まずに育ってきたのですが、思いの外おもしろかったです。もっと時間のある時期に読む習慣があればよかったのに、と思います。



私が卒業した高校では、一年丸々使って、日本の近現代史だけを扱うという授業があって、担当して下さっていたM先生のご指導が熱心だったこともあって、非常に興味を持って聞いた記憶があります。しかし、どうしても「歴史の授業」であるが故の限界があったのも事実で、ある人物の名前が登場しても、その人について学ぶ事項は、2,3個のエピソードだけだったりすることが多く、無味乾燥な印象しか持てないことも少なくありませんでした。優秀な同級生は、図書館に行って山川リブレットや、司馬遼太郎を読んだりして、学んだことを膨らませていたのかもしれませんが、私はダメ生徒だったので、何もせずに過ごしていました。



今回、「最後の将軍」を読んで、歴史小説について、教科書だけでは単なる記録の羅列に留まってしまいしがちな「歴史」を、物語として読みがえらせるという機能を再認識した次第で、今後、さらに有名な「翔ぶが如く」なども読んでみたいと思いました。