Googleを支える技術 巨大システムの内側の世界

Googleを支える技術 ?巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)


検索アルゴリズムとか、MapReduceのような技術については、「流行もの」ということで、学部の講義とか技術系雑誌の記事などで目にしたことがあったので、サーッと流し読みをした。(そういった「読まれ方」については筆者も予想していたようで、PageRankの計算法などは端折ってしまっている。)もちろん、公知の技術について書かれているからといっても、本書のように丁寧にわかりやすくまとめた上で、書籍にまとめたというのは素晴らしいことだと思う。根拠となっている論文や記事について、丁寧にポインタが張ってあるのも理解を深める助けとなってよいと感じた。

一番興味深かったのが、Googleデータセンターのインフラについて書かれた部分だった。とりわけ、Googleが使っている大量のハードディスクのSMART値と実際の故障率を比較した論文について書かれていることがおもしろかった。世間的には、HDDの使用温度が高ければ高いほど、故障率も高まるというのが一般的な理解が多いような気がするが、Googleによると、30度を下回るような温度だと、かえって故障確率は温度の低下にともなって上がっていくらしい。もっとも、これはあくまで事例報告であり、そもそもが学術研究として実験を行い、湿度などの他の条件をそろえた上で温度だけを変化させたわけではないので、簡単に結論を導くことはできないかもしれないが、もし「サーバールームは結露しない程度に冷やしておくのが一番」というような単純な考え方をしているような場合は、再検討するきっかけになるかもしれない。