元旦から23日までの読書メモ

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

どちらも佐々木俊尚氏の著作。業界人の端くれとしては,新しい情報を求めて読むと言うよりは,問題点を整理し直したり,斯学の外の人間に説明するときの参考として読むと吉。

ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 (技評SE新書002)

ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 (技評SE新書002)

SE用の自己啓発本,と言って差し支えない。

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

個人的には,9.11のときの衛星中継で顔を覚えた手嶋龍一氏と,外務省のラスプーチン佐藤優氏の対談。当時は,手嶋氏の表情がひどく眠たげなのは,出ずっぱりで疲れているからだと思っていたのだが,5年を経て,手嶋氏は常に眠たげであることが分かった。
随所随所で,お互いをヨイショし合うのがニクイ。

オープンソースがなぜビジネスになるのか (MYCOM新書)

オープンソースがなぜビジネスになるのか (MYCOM新書)

Rechard M. Stallmanと個人的に親交のあるという井田昌之教授の思い出話以上に,興味深い話題は見あたらなかった。
特に,ビジネスにおけるオープンソースの位置づけについては,IBMオープンソース戦略などについて多少の記述があるものの,肝心の「なぜビジネスになるのか」という問いに対する積極的な答えは提示されていない。
IBMオープンソース関連施策の根底には,1993年以降のIBMのサービス企業化がある。IBMは,メインフレーム時代から続く,独自アーキテクチャの上に上流から下流まで垂直に展開するというビジネス・モデルを捨てつつある。
ハードウエアを通したオリジナル・アーキテクチャを持たなくなると言うことは,独自仕様を拠り所とした囲い込み戦略が成り立たなくなると言うことを意味し,逆に,独自アーキテクチャを持った他社に市場を囲い込まれたり,他社が同様のサービス化戦略を採った場合に,差別化が不十分であると,ハードウエアと同様の価格競争に陥ったりといったおそれがある。
しかし,ハードウエアのコモディティ化を前提に,OS・フレームワークのレベルでオープンソースによるdefacto standardを形成することができれば,システムの製造会社にかかわらずIBMのソリューションに統合することが可能となり,パイは拡大する。そして,そのオープンソースという標準によって「フラット」になった世界で競争優位を保つためには,これまでIBMが取ってきた施策,すなわち,オープンソース・エンジニアの雇用や,ソースコードや特許の寄贈といった行為を通じて,オープンソース界に対して積極的なコミットメントを行うことで,運動のイニシアチブを握り,オープンソースとの距離を近く保つことが有効である。
私自身も,オープンソースやビジネスについては一知半解の知識しかないが,以上のようなことを感じた。

夢をかなえる投資塾

夢をかなえる投資塾

モルガン・スタンレー・アセット・マネージメント,ゴールドマン・サックスの出身の著者による,実践的な投資入門。
様々な投資手法に関して,実際に資産運用に成功した人間が,どのような思考法をしているのか,という点で,たいへん興味深く参考になる。
注意しなければならないのは,前書きは「私自身も,約10年前には年収300万円台の普通のOLでした」と,親近感を強調する出だしで始まるが,筆者は職歴もさることながら,ニューヨーク大学への留学資金を稼ぐために,高校生時代から株式投資をしていたというように,断じて「普通のOL」ではない。また,10億円の資産を築くに至るまでの元本に充当できた金額も,「普通のOL」とは比較にならなかったはずで,筆者の成功については,その点を割り引いて考える必要がある。
ちなみに,全体を通して手取り足取り的な雰囲気が貫かれていて,FXや日経225のインデックス・ファンドについて,「○○円なら買い」というように,具体的な数字が書き込まれているので,思考停止したい投資家にはもってこい。現代日本アートへの投資を薦めるくだりでは,「現代美術画家ベスト5」まで書いてある。

PLUTO 4 (ビッグコミックス)

PLUTO 4 (ビッグコミックス)

浦沢直樹の漫画は,絵もプロットも丁寧に描かれていて,とてもおもしろい。
彼が死んでしまうなんて。
早く次が読みたい。

「日本叩き」を封殺せよ〜情報官僚・伊東巳代治のメディア戦略

「日本叩き」を封殺せよ〜情報官僚・伊東巳代治のメディア戦略

大日本帝国憲法の起草者として,伊藤博文,金子堅太郎,井上毅とセットで有名な伊東巳代治の業績を検証する。新聞社買収や,外国通信社の記者に金を渡すなどといった工作を通して,伊東が行ってきた内外に対する宣伝活動に焦点を当て,その成果や時代背景を読み解く。
本書の優れた点は,元外交官である筆者が,ドイツの外交公文書館まで足を運んで取材した成果が反映されていることである。
NHKに対する放送命令の問題ではないが,現代では,政府がマスメディアの操作を通じて露骨な世論操縦を図れば強い反発を招くため,一見,政府によるメディア操縦は行われていないかのように思える。しかし,現代政治のリアリズムとしては,どの国も影響下にあるメディアを通じて,何らかのプロパガンダを発しているというのが筆者の主張であり,北朝鮮問題についても,米中には北朝鮮の危機を煽ることで,北朝鮮に眠る豊富な資源から日本の目を背けようとする意図があり,それに幻惑されてはならないとしている。

「 LLC(合同会社)」 はじめての設立&かんたん登記 < 新会社法対応 > (図解はじめてシリーズ)

「 LLC(合同会社)」 はじめての設立&かんたん登記 < 新会社法対応 > (図解はじめてシリーズ)

知人が合同会社(Limited Liability Company: LLC)を設立したので,概要や設立方法について調べた。
紀伊国屋本店でパラパラ立ち読みした限りでは,類書と比べて,概念的な説明などが多すぎず,最も実践的な本であるように感じた。ただし,その知人の場合は定款に貼った4万円の印紙が不要であったり,新しい制度である故に,まだ実務的な知識が蓄積されておらず,ハウツー本を買っても,LLCの設立に当たっては,多少の試行錯誤が必要になるかもしれない。

金持ち父さん貧乏父さん

金持ち父さん貧乏父さん

しばらく前のベストセラー。堀江貴文氏が「稼ぐが勝ち」の中で,勉強になると言っていたので購入したものの,本棚でホコリをかぶっていた。
「ぜいたく品を買った残りを運用に回すのではなくて,運用した余りでぜいたく品を買うべきだ」という主張を理解できただけでも,この本を読む価値があった。
自明のことながら,税金や不動産の扱いは,日米で制度上の違いがあるので,それを斟酌して読む必要がある。