SM断ち
特殊な性的嗜好を我慢しているということではなく、social mediaを断つという実験をしています。自分の場合、Social Mediaで流れてくる情報を見ないようにするということに加えて、FacebookやTwitterへの投稿に連なる思考パターンを排除するという2つの要素があります。
業界的にはsocial mediaを通して有益な情報が流れてくることも多いのは事実で、social mediaに費やしていた時間が無駄だったと言い切るのは難しいのですが、新しい国で生活したり、子供が増えたり、色々なことに時間を費やさざるを得ない(あるいは、費やしたい)なかで、social mediaの優先順位が相対的に低くなってきていました。本来は、子育てとか、アメリカ生活とか、そういったものとsocial mediaは同列に比較される対象ではなく、social mediaは文字通り媒体として機能するはずのものなのですが、自分にとってsocial mediaの上で費やされる時間の多くがテレビ的な受け身の時間だったことは否めませんでした。そこで、自分にとってのsocial mediaとしては、「テレビの時間を減らす」というのと同列の議論として時間削減の対象となりました。
そして、ごくわずかな受け身ではないsocial mdeiaとの使い方である投稿(ポスト、ツイート)についてですが、振り返ってみると目の前の<何か>に対してsocial media上でのニュースバリュー的なものを絶えず考え続けている自分がいたような気がしています。Likeの数などは深く考えたことがなかったのですが、これについて知りたい人がいるだろうかということは気になっていました。モノゴトについてFacebookの友達やTwitterのfollowerへ提供できる価値を考え続けると言うことは、それ自体に意味がない訳ではありませんが、他人の物差しを気にし続ける行為であるという点で、これも今の自分がやりたいこととして高い優先順位をつけるようなものではない気がしました。
調べてみるとFacebookを断つために様々な工夫をしている話を目にしましたが、自分の場合は少しの工夫をするだけで、iPhoneに触れたり、webブラウザを開くたびにFacebookにアクセスしていた手癖はすぐに直りました。まだ2週間ぐらいですが禁断症状も出ていません。工夫というのは、各サービスへのアクセスに必要な手間を増やす、という単純なものです。具体的にはパスワードを暗記し得ないほど長大複雑なものに変更した上で、各ブラウザでログアウトしてしまいました。アクセスしないことが常態化すると、もはやパスワードの控えを調べてログインするのは面倒です。そしてタイムラインやストリームを見ないことが普通になると、続いて投稿意欲については自然に減退しました。
ここまで書いてきて、ソーシャルメディア的な<広く浅く>のつながり方について自分の中で相対的な価値が下がったのは年をとったせいもあるかもしれないと感じました。家族が元気であれば他人など適当でいいではないか、と本心から思っているのかもしれません。(そんな単純なはずはないですが。)その一方でsocial media断ちと前後してblogを書きたいという気持ちが沸々と沸いてきています。この2つの変化が同時に起きているのが偶然なのかどうかも今ははっきりとは分かりません。自分は、いつまでこのblogを書き続けるのでしょうか。
アメリカのチャイルドシート
アメリカは州ごとに細かな規定が異なったりしますが、小さい子供をクルマに乗せるにあたってチャイルドシートの利用が義務づけられている点については日米変わりません。
昔々のチャイルドシートはシートベルトのみで据え付けるものでしたが、最近ではチャイルドシート専用の器具で固定するものが多くなり、日本でも車そのものにもISO-FIXの設置が義務づけられたりしています。アメリカではISO-FIXの元となったLATCHという規格がデファクトスタンダードで、ほとんどの市販チャイルドシートがISO-FIXではなく「LATCH対応」を謳っています。この「LATCH対応」のチャイルドシートですが、私から見ると課題があるように感じます。クルマに埋め込んである金具との固定にストラップ(ひも)を使ってと固定するタイプが多いのですが、チャイルドシートを安定させるためには、このストラップをかなり強く締め付ける必要があり、設置の難易度が高いです。また不安定さを補うためのテザーアンカーが付いているのですが、これの取り付けを忘れている場合も少なくないようです。
日本で売られているISO-FIX対応のシートで、チャイルドシート側の骨組みから直接金属のレール上の金具が伸びていて、それをクルマの金具へガチャリと固定できるタイプのものがありますが、それをストラップタイプと対比してRidged LATCHと呼ぶそうです。金具で固定されるのでチャイルドシートはしっかりと安定し、それでいて取り付けに必要な時間もずっと短いです。このタイプは日本だと簡単に手に入りますが、残念ながら通販でも店頭でもアメリカではほとんどみかけません。
私がアメリカで1つめに購入したチャイルドシートも、やはり「LATCH対応」でToys"R"UsやAmazon.comでもよく売れている標準的なチャイルドシートだったのですが、ストラップで固定するものでした。かなり頑張ってストラップを締め上げたつもりでも、高速道路のランプなどで強めの横Gがかかると、チャイルドシートがグラグラと左右に大きく傾くことがあり、保護性能に不安を感じました。(沈み込みの大きなクロスシートだったせいもあるかもしれません。)結局、この「LATCH対応」のチャイルドシートを数ヶ月使った後で、日本でも馴染みのあるMaxi-CosiのRidged LATCHタイプをアメリカ国外から輸入して取り替えました。(実はアメリカでもMaxi-Cosiのチャイルドシートは普通に販売されているのですが、なぜか大半がストラップのLATCH対応です。)
ちなみに購入先はドイツの通販サイトで海外発送してくれているところを使いました。年の瀬のホリデー・シーズンに注文しましたが3週間ほどで西海岸まで届きました。送料は約80 EURでした。全く同じ型番であるにもかかわらずドイツでの販売価格が日本と比べてずっと安かったこともありあまり気にしませんでしたが、もしかするとメキシコやカナダなど近場から更に安い送料で手に入るかもしれません。
ところで、米国内で販売されていないチャイルドシートは、厳密に言うとアメリカの基準に合致していないものもあるため、警察などに問題視される可能性があるという指摘も目にしました。テザーアンカーの有無あたりが問題になる可能性があるようです。新たに輸入したものに限らず、日本から持ち込んだものも注意が必要かもしれません。
GENIN 2016
下人は、太刀を鞘におさめて、その太刀の柄を左の手でおさえながら、冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く膿を持ったトラックポイントを気にしながら、聞いているのである。
しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっきゲートの中で、この男には欠けていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上って、この老婆を捕えた時の勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。下人は、メールを読み逃すか餓死するかに、迷わなかったばかりではない。その時のこの男の心もちから云えば、メールを読み逃すなどと云う事は、ほとんど、考える事さえ出来ないほど、意識の外に追い出されていた。
「きっと、そうか。」
老婆の話がおわると、下人は嘲るような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をトラックポイントから離して、老婆の襟上えりがみをつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、己が未読メールをそのまま削除しようと恨むまいな。己もそうしなければ、疲れてしまう体なのだ。」
下人は、すばやく、Ctrl-A + DELを押下した。それから、執拗にメールを配信してくるメーリングリストを、手早くいくつもunsubscribeした。残りのリストは、僅に五つを数えるばかりである。下人は、すっかり空になった受信トレイを満足げに眺めると、またたく間に狭いゲートを夜の底へかけ出した。
しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸の体を起したのは、それから間もなくの事である。老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、ゲートの外まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒さかさまにして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
下人の行方は、誰も知らない。
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Amazon Kindleストアにて年末セールが開催されている。既にコンピューター関係のまとめとか色々あるので、既に紙で持っている本も含めて個人的に興味を覚えた技術書<以外>の本を並べてみる。
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当たり前だけど勤め先は関係ない。。
よれよれ
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「そんなこと求められたって、今、女だって救われたい訳である。・・・性の対象としてのみ扱われながら相手の男を救済するなんて、マグダラのマリア様じゃないんだからできない。できない筈なのに、それができる女が登場するのが、多分私にとっての春樹文学に対する、ものすごい不愉快感の理由なんだ、とはたと気づかされた。」と、おそらく女性によるレビュー。
村上春樹を巡っては、10年以上前にも同世代の複数の女性から同じようなことを立て続けに言われたことがあって、その時は全く理解できなかったのだけど、その後、「精神的な自立」とでも言ってしまえるとカッコいいが、平たく言うと女性を含む他者から救済を得ることを諦めるという方向で自分の考え方も変化する中で徐々に理解が深まって来ているような気がする。(もし並行して「自分が大好き」という核心を失っていたら、逆に理解は遠ざかったかもしれない。未だに自分は大好きである。)それと並行して、Twitterに「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ」とか「やれやれ」などと書き込んで快楽を得る気力はいよいよ失われて来ており、もはや「よれよれ」と書き込むのが精一杯の境地に至った。
とはいえ、だからといって村上春樹を読まなくなったということはなく、「国境の南、太陽の西」に至っては自分は10回以上読んでいて、移動先で買い足したりした結果、手元に何冊も同じ本があったりする事実は変わらない。ただ、それは、いわゆる<リア充>への憧憬の念の苦しみ(傍点を打ってやりたいぐらいだ)を忘れないための「薪」であり「胆」としての読書であって、ユダヤ教徒が過越祭に種なしパンを食べるのと同じ行為である。<リア充>小説であることが確定していない新作については読む動機は生じ得ない。よれよれ。
ちなみに、種なしパンのことを発音によっては「マッツォ」と呼ぶらしい。
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AWS IAMによるセキュリティ・ベストプラクティス(スライド紹介)
AWSのPrincipal Security Solutions ArchitectであるMax Ramsayが、AWS IAMのベストプラクティスを説くスライドの紹介。AWS IAMとは、AWSのサービスやリソースへのアクセスをセキュアに制御するためのサービス。
クラウド・ベンダーはメインとなる仮想サーバー機能やストレージ機能だけではなくて、IAMのような地味ながら極めて重要な機能を提供できることが大切であると個人的には感じている。ところが、IAMがあっても十分に活用されていない場合もあるので、この良スライドを意訳しつつ日本語でサマリーを書いてみる。
最小権限の原則といったセキュリティ管理における常識的な内容を、AWS IAMという機能にマッピングするのが本プレゼンテーションの趣旨なので、実現方法の説明はスライド内を参照。
- ユーザーを個別に作ろう
- クレデンシャルを共有すべきではない
- 権限を分割しよう
- 権限はグループで管理しよう
- 複数のユーザーに権限を割り当てるのが簡単
- 異動した社員の権限の管理なども簡単
- 権限変更時の設定漏れが起きにくい
- 最小の権限だけを割り当てよう
- 管理の粒度を高められる
- 誤操作の可能性を低くできる
- *:*のポリシーは避けよう
- 強力なパスワードポリシーを使おう
- 最短文字数や、大文字小文字、記号使用などを設定できる
- 強い権限を持ったユーザーはMFAを使うべし
- Multi-Factor Authentication(多要素認証)とは、「知識ベース」であるパスワードに加えて、「所有ベース」のワンタイムパスワード生成装置(トークン)を、2つめの認証要素として付加できる仕組み。
- 設定・利用について追加料金は不要
- 物理トークンを使う場合はAmazon.comから購入する必要があるが、AndroidやiOSにインストールして利用するVirtual MFA(無料)も使える。
- EC2インスタンス上での用途にはIAMロールを活用しよう
- アクセスを共有するためにもIAMロール
- セキュリティ・クレデンシャルは頻繁にローテーションしよう
- これは常識
- 条件式を使って権限を制限しよう
- MFA使用、SSL経由、アクセス元IPなどに絞り込むことができる
- それぞれスライド中に実際のサンプルあり
- MFA使用、SSL経由、アクセス元IPなどに絞り込むことができる
- Root権限の使用は最小限度にとどめよう
- 必要な権限をIAMユーザーに委譲する
ところで、AWSではセキュリティやコンプライアンスに関連する情報をAWS Security and Compliance Centerに集約して掲載していて、第三者機関から取得済みの認証の情報などもチェックできる。また、セキュリティ関連のプロセスを概観したOverview of Security Processes(日本語版PDF←ただし少し古い)というホワイトペーパーを発行していて、定期的に更新されている。